筋持久力トレーニングとは?高める方法・自宅メニュー・回数設定をわかりやすく解説
「すぐに疲れてしまう」「スポーツの後半でパフォーマンスが落ちる」「同じ動作を繰り返すと筋肉が動かなくなる」という経験をしたことがある方は少なくありません。
こうした悩みの多くは、筋持久力の不足が原因のひとつとして考えられており、正しいトレーニングを継続することで改善が期待できるとされています。
筋持久力とは、筋肉が繰り返しの負荷に対してどれだけ長く力を発揮し続けられるかを示す能力であり、スポーツのパフォーマンス向上だけでなく、日常生活での疲れにくさにも深く関わっています。
この記事では、筋持久力の基本的な概念から、効果的なトレーニングの設定方法・自宅で取り組めるメニュー・継続のコツまで、一般の方にもわかりやすくまとめています。
「体力をつけたい」「疲れにくい体を目指したい」という方にも参考にしていただける内容です。
筋持久力とは?筋力との違いをわかりやすく解説
筋持久力を正しく鍛えるためには、まず「筋持久力とは何か」「筋力とどう違うのか」を理解しておくことが大切です。
概念を整理しておくことで、目的に合ったトレーニング方法を選びやすくなります。
筋持久力の定義
筋持久力とは、繰り返しの負荷に対して特定の筋肉がどれだけ長く力を発揮し続けられるかという、筋肉自体の持久力のことです。
厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」では、筋持久力を「繰り返しの負荷を何回続けられるかというある特定の筋肉の持久力」と定義しています。[1]
日常生活における筋持久力の必要な場面としては、長時間のデスクワーク中に同じ姿勢を保ち続けること・重い荷物を運ぶこと・階段の昇降・長距離の歩行などが挙げられます。
スポーツにおいては、マラソン・水泳・自転車・バドミントン・バスケットボールなど、継続的な筋肉の収縮を必要とする種目全般において、筋持久力は競技パフォーマンスを左右する重要な要素のひとつです。
筋持久力は「全身持久力(心肺持久力)」とは異なる概念であり、全身持久力が心肺機能など内臓全体の力を指すのに対して、筋持久力は特定の筋肉が持つ持久力を指しています。[1]
一般に「スタミナがある」といわれる場合は全身持久力のことを指すことが多いですが、疲れにくく長く動ける体をつくるためには、全身持久力と筋持久力の両方をバランスよく鍛えることが重要とされています。
筋力との違い
筋力と筋持久力は、同じ「筋肉の力」に関係する概念ですが、鍛え方や目的が異なります。
厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」では、筋力を「1回で持ち上げることのできる最大重量によって計られる力」と定義しており、筋持久力とは明確に区別されています。[1]
筋力は「1回の動作でどれだけ大きな力を発揮できるか」を示す能力であり、高負荷・低回数のトレーニングによって鍛えることが基本とされています。
一方、筋持久力は「同じ動作をどれだけ多く繰り返せるか」を示す能力であり、低負荷・高回数のトレーニングによって鍛えることが基本とされています。
筋力を高めることを目的としたトレーニングでは、最大筋力の70〜85%程度の高負荷で6〜10回前後のセットを組むことが一般的とされているのに対して、筋持久力を高めることを目的としたトレーニングでは、最大筋力の40〜60%程度の低〜中負荷で20〜30回程度の高回数が目安とされています。[1]
両者は相互に補完し合う関係にあり、筋力を高めることで筋持久力の土台が安定しやすくなり、筋持久力を鍛えることで筋肉への血流・酸素供給が改善して筋力発揮もサポートされるとされています。
目的に応じてトレーニングの比重を調整しながら、両方をバランスよく取り入れることが、より高いパフォーマンスと健康的な体づくりにつながるとされています。
遅筋(赤筋)と速筋(白筋)の役割
筋持久力を理解するうえで、遅筋と速筋という2種類の筋線維の違いを把握しておくことが大切です。
厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」によると、筋肉はその筋線維の性格から「速筋」と「遅筋」の2種類に大きく分けられます。[1]
速筋(白筋)はパワーが高く瞬発的な動きに優れている一方で、持久性が低く疲れやすいという特徴があり、短距離走・重量挙げ・ジャンプなどの無酸素運動に関係しています。
遅筋(赤筋)はパワーは小さいものの持久性が高く疲れにくいという特徴があり、長距離走・水泳・サイクリングなどの有酸素運動や日常の姿勢維持に関係しています。[1]
筋持久力のトレーニングでは、主に遅筋(赤筋)を刺激することが中心となりますが、低負荷・高回数のトレーニングを継続することで遅筋の周囲の毛細血管が発達し、筋肉への酸素供給力が高まることで持久力が向上するとされています。[1]
遅筋は加齢によっても比較的衰えにくい筋肉とされており、年齢を問わず継続してトレーニングに取り組みやすい点が、筋持久力トレーニングのメリットのひとつといえます。
筋持久力を高めるトレーニングの基本設定
筋持久力トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、回数・セット数・負荷・インターバルの設定を正しく理解したうえで取り組むことが重要です。
設定を間違えると筋持久力ではなく筋力や心肺機能を鍛えるトレーニングになってしまう場合があるため、目的に合った設定値を把握しておくことが大切です。
負荷・回数・セット数の目安
筋持久力を高めることを目的としたトレーニングでは、「低〜中程度の負荷×高回数」を基本設定とすることが推奨されています。
厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」によると、筋持久力のトレーニングは最大筋力の約40%程度の軽い負荷で、運動できる限界に近づくように繰り返し続けることが基本とされています。[1]
1セットあたりの目安回数は20〜30回程度であり、最後の数回で限界に近づくような負荷設定がトレーニング効果を最大化するうえで重要です。
「30回できる重さで20回しかやらない」という設定では筋持久力への刺激が不十分になるため、設定した回数の最後の2〜3回で「きつい」と感じる程度の負荷を選ぶことが推奨されます。
セット数は1セット20〜30回を2〜3セット組み合わせることが一般的な目安とされており、合計で60〜90回程度の動作量を確保することが筋持久力向上に効果的とされています。
自重トレーニング(体重を負荷として使う種目)で30回以上楽にできるようになった場合は、負荷を上げるか別の種目に移行することで、継続的な刺激を筋肉に与えることができます。
インターバル(セット間の休憩時間)の設定
筋持久力トレーニングにおいては、セット間のインターバル(休憩時間)の設定が非常に重要です。
筋力アップを目的としたトレーニングでは2〜3分程度の長めのインターバルを設けて筋肉を十分に回復させるのに対して、筋持久力トレーニングでは10〜60秒程度の短いインターバルで次のセットに移ることが効果を高めるうえで重要とされています。
インターバルを短く設定することで、筋肉への継続的な負荷と疲労耐性の向上を促し、遅筋の毛細血管発達に必要な刺激を与えやすくなるとされています。
ただし、インターバルが20秒を下回るほど短くなると、次のセットまでに呼吸が整わなくなり、筋持久力トレーニングよりも心肺機能トレーニングの比重が大きくなってしまう場合があります。
「呼吸が少し落ち着いた状態で次のセットに移れる」という感覚を目安に、30〜60秒程度のインターバルを基本として取り組むことが初心者にも継続しやすい設定のひとつです。
エクササイズ間(種目の切り替え時)のインターバルも短めに保つことでトレーニング全体の質を高めやすくなるため、次に何をするかをあらかじめ決めてからトレーニングを開始することが推奨されます。
トレーニングの頻度と継続期間
筋持久力トレーニングの効果を実感するためには、適切な頻度と継続期間を設定することが重要です。
トレーニングの頻度は週に3〜5回程度が目安とされており、少なくとも8週間以上継続することで筋持久力の向上を実感しやすくなるとされています。
ただし、毎日同じ部位を鍛え続けることは筋肉の回復を妨げるため、同じ部位のトレーニングは週2〜3回程度とし、トレーニングとトレーニングの間に1〜2日の回復時間を設けることが推奨されます。
筋持久力トレーニングは筋肉に蓄積した疲労物質(乳酸など)の除去と毛細血管の発達を促す継続的な刺激が必要なため、「週1回だけ」のトレーニングでは効果が出にくい傾向があるとされています。
初めてトレーニングに取り組む方は、まず週2〜3回から始めて体が慣れてきたら週4〜5回に増やしていくという段階的な取り組み方が、怪我のリスクを抑えながら継続しやすい方法のひとつです。
4〜8週間ごとに種目・回数・負荷を見直して更新していくことで、トレーニング効果の停滞を防ぎながら筋持久力を継続的に高めやすくなります。
自宅でできる筋持久力トレーニングメニュー
筋持久力トレーニングは、特別な器具がなくても自体重(自重)を負荷として利用することで自宅でも効果的に取り組むことが可能です。
厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」でも、自重を使ったトレーニングが筋肉の持久力向上に有効であることが示されています。[2]
スクワット(下半身・体幹)
スクワットは、太もも前面の大腿四頭筋・お尻の大臀筋・ハムストリングスなど下半身の大きな筋肉群を同時に鍛えられる、筋持久力トレーニングの代表的な種目です。
大腿四頭筋や大臀筋などの大筋群には遅筋(赤筋)が多く含まれているため、高回数のスクワットを継続しておこなうことで筋持久力向上に効果的な刺激を与えられるとされています。
基本的なやり方 足を肩幅程度に開いて立ち、つま先はやや外向きにします。背筋をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと膝がつま先の方向に向くよう意識しながら腰を落とし、太ももが床と平行になる程度まで下げます。下げた状態から元の立ち姿勢に戻す動作を1回として、20〜30回×2〜3セットを目安に取り組みます。
筋持久力トレーニングとして取り組む際のポイント 下げるときと戻すときのどちらも力を抜かず、1回1回の動作をコントロールしながらおこなうことで筋肉への持続的な刺激を確保できます。
膝がつま先より内側に入ったり、腰が丸まったりするフォームは膝や腰への負担につながるため、正しいフォームを保ちながら最後の数回で限界を感じる設定で取り組むことが重要です。
慣れてきたらジャンプスクワット(しゃがんで立ち上がる瞬間に軽くジャンプする動作を加えたもの)に移行することで、筋持久力と同時に下肢の瞬発力も鍛えやすくなります。
腕立て伏せ(上半身・体幹)
腕立て伏せは、大胸筋・三角筋(肩)・上腕三頭筋(二の腕)・体幹を同時に鍛えられる上半身の筋持久力トレーニングの代表的な種目です。
基本的なやり方 両手を肩幅よりやや広めに床につき、頭からかかとまでが一直線になるような体幹の姿勢を保ちます。肘を曲げながら胸が床につく直前まで体を下げ、そこから肘を伸ばして元の姿勢に戻す動作を1回として、20〜30回×2〜3セットを目安に取り組みます。
筋持久力トレーニングとして取り組む際のポイント 体幹(腹筋・背筋)に力を入れてお尻が上がったり腰が落ちたりしないよう一直線の姿勢を保つことが、筋肉への適切な負荷を維持するうえで重要です。
通常の腕立て伏せが困難な場合は、膝をついた「膝つき腕立て伏せ」から始めることで、フォームを崩さずに取り組みやすくなります。
20〜30回を続けておこなうことが難しい場合は、E.M.O.M.(エブリー・ミニット・オン・ミニット)という方法が有効です。
E.M.O.M.とは「1分を1セットとして、毎分の開始時に設定回数をおこない、残った時間を休憩に充てる」という方法であり、無理なく高回数のトレーニングを継続しやすい点が初心者にも取り組みやすいとされています。
プランク・体幹トレーニング
プランクは、腹筋・背筋・骨盤底筋などの体幹(インナーマッスルを含む)を静止した状態で鍛えるトレーニングであり、姿勢の維持に必要な筋持久力を高める効果が期待できます。
基本的なやり方 両肘を肩の真下につき、頭からかかとまでが一直線になる姿勢を保ちます。腹筋と体幹全体に力を入れたまま、この姿勢を30〜60秒間維持することを1セットとして、3〜5セット繰り返します。
筋持久力トレーニングとして取り組む際のポイント お尻が上がる・腰が落ちる・首が前に出るなど、正しい姿勢が崩れた時点で一度休憩を取り、姿勢を整えてから再開することが体幹への適切な刺激を確保するうえで重要です。
体幹の筋持久力が向上してきたら、片腕または片脚を上げた姿勢でのプランク(ダイナミックプランク)に移行することで、負荷をさらに高めることができます。
体幹の筋持久力は、スポーツのパフォーマンスだけでなく、長時間のデスクワーク中の姿勢維持や腰痛予防にも役立つとされており、継続してトレーニングに取り入れる価値が高い種目のひとつです。
マウンテンクライマー(全身・体幹)
マウンテンクライマーは、体幹・腹筋・大腿四頭筋・肩まわりを同時に鍛えられる全身性の筋持久力トレーニングです。
リズミカルな動作を継続することで筋持久力と同時に心肺機能への刺激も得られるため、スタミナ向上を目指す方に取り入れやすい種目のひとつとされています。
基本的なやり方 腕立て伏せの姿勢(手を床についた姿勢)から始め、体幹を一直線に保ちながら左右の膝を交互に胸に向かって素早く引きつけます。左右交互に引きつける動作を1回として、20〜30秒間継続することを1セットとし、インターバルを30〜60秒とりながら3セットを目安に取り組みます。
筋持久力トレーニングとして取り組む際のポイント お尻が上がって体幹の一直線が崩れると腹筋への負荷が逃げてしまうため、腹筋に力を入れてお尻の高さを一定に保つことがもっとも重要なポイントです。
動作に慣れてきたら実施時間を30秒→45秒→60秒と段階的に延ばしていくことで、継続的な筋持久力への刺激を確保できます。
バーピー(全身)
バーピーは、スクワット・腕立て伏せ・ジャンプの動作を組み合わせた全身の筋持久力を鍛える種目であり、筋肉への持続的な負荷と心肺機能への刺激を同時に得られる効率的なトレーニングのひとつです。
基本的なやり方 立った状態からしゃがんで両手を床につき、両足を後ろに伸ばして腕立て伏せの姿勢になります。腕立て伏せを1回おこなった後、両足を素早く元の位置に引きつけてしゃがみ姿勢に戻り、そのまま立ち上がって軽くジャンプします。この一連の動作を1回として、10〜15回×2〜3セットを目安に取り組みます。
筋持久力トレーニングとして取り組む際のポイント 各動作でフォームが崩れないよう、最初はゆっくりとした速度から始めて動作に慣れてからペースを上げていく方法が怪我のリスクを抑えながら取り組みやすいとされています。
運動強度が高い種目であるため、関節や筋肉に違和感がある場合は無理に続けず、スクワット・腕立て伏せ・マウンテンクライマーなどの単独種目から始めることが推奨されます。
筋持久力トレーニングを効果的に続けるポイント
筋持久力トレーニングは正しいフォームと適切な設定で継続することが効果を最大化するうえでもっとも重要な要素のひとつです。
ここでは、効果を高めながら安全に続けるために意識したいポイントをまとめます。
フォームを最後まで崩さない
筋持久力トレーニングは高回数をおこなうため、後半のセットになるほどフォームが乱れやすくなる点に注意が必要です。
フォームが崩れた状態でトレーニングを続けると、目的とは異なる筋肉に負荷がかかったり、関節・腱への過度な負担につながったりするリスクがあります。
「最後の2〜3回で限界に近づくがフォームは保てる」という状態が理想的であり、フォームを維持できなくなった時点でセットを終了して休憩を取ることが安全で効果的なトレーニングの基本です。
高回数を達成することよりも、正しいフォームで動作を完結させることを優先することが、長期的なトレーニング効果と怪我予防の両方に役立ちます。
トレーニング前に鏡やスマートフォンの動画で自分の動作を確認する習慣をつけることで、フォームの乱れに気づきやすくなります。
フォームに自信がない場合は、最初は軽めの負荷・少ない回数から始め、動作の感覚を身につけてから徐々に負荷と回数を上げていくことが推奨されます。
ウォームアップとクールダウンを取り入れる
筋持久力トレーニングの前後には、ウォームアップとクールダウンを必ず取り入れることが怪我予防とトレーニング効果の向上に重要とされています。
ウォームアップは体温を上げて筋肉・関節を動かしやすい状態にするために必要であり、軽いウォーキング・その場での足踏み・動的ストレッチ(関節を動かしながらおこなうストレッチ)を5〜10分程度おこなうことが推奨されます。
ウォームアップを省略すると筋肉・関節が冷えた状態でトレーニングを開始することになり、筋肉や腱への負担が増して怪我のリスクが高まるとされています。
クールダウンはトレーニング後の心拍数を落ち着かせながら、緊張した筋肉をほぐすために重要であり、静的ストレッチ(一定時間姿勢を保つストレッチ)を10〜15分程度おこなうことが推奨されます。
とくに筋持久力トレーニングは高回数の反復運動で筋肉に乳酸が蓄積しやすいため、クールダウンで軽く体を動かすことで疲労物質の除去を促し、翌日以降の回復を助けることが期待できます。
クールダウン後にたんぱく質を含む食事(鶏むね肉・豆腐・ゆで卵・プロテインなど)を30〜60分以内に摂ることで、筋肉の修復・維持をサポートしやすくなるとされています。
有酸素運動と組み合わせる
筋持久力トレーニングに有酸素運動を組み合わせることで、遅筋(赤筋)周囲の毛細血管発達と酸素供給力の向上をより効率よく促せるとされています。
厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」でも、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせることで、体力・代謝・持久力の各側面においてより大きな改善効果が期待できるとされています。[3]
ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなどの有酸素運動を週2〜3回程度取り入れることで、全身持久力と筋持久力の両方をバランスよく鍛えやすくなります。
筋持久力トレーニングと有酸素運動を同日におこなう場合は、筋持久力トレーニングを先におこない、その後に有酸素運動をおこなう順序が一般的に推奨されており、この順序にすることで筋肉への適切な負荷と有酸素運動による心肺機能刺激を両立しやすくなるとされています。
有酸素運動は1回20〜30分から始め、体力が向上するにつれて時間を延ばしていく段階的なアプローチが、無理なく継続しやすい方法のひとつです。
有酸素運動のみでは速筋(白筋)のトレーニングが不足し、加齢とともに速筋の減少が進みやすくなるとされているため、筋持久力トレーニングと有酸素運動を並行して取り組むことが健康維持の観点からも推奨されています。
栄養・睡眠と回復のマネジメント
筋持久力トレーニングの効果を最大化するためには、トレーニング内容だけでなく栄養管理と睡眠の質も重要な要素です。
筋持久力は遅筋(赤筋)の毛細血管発達と筋肉の修復・強化によって向上するため、筋肉の材料となるたんぱく質を毎食適切に摂ることが基本とされています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人のたんぱく質推奨量として男性65g・女性50g程度が示されており、運動習慣がある方は体重1kgあたり1.2〜1.5g程度を目安に摂ることが推奨される場合があります。
エネルギー代謝をサポートするビタミンB群(豚肉・玄米・卵・納豆などに豊富)を積極的に摂ることで、運動中のエネルギー産生を効率的にサポートしやすくなるとされています。
睡眠中は成長ホルモンの分泌が活発になり、筋肉の修復・強化が促されるとされているため、1日7〜8時間程度の質の良い睡眠を確保することがトレーニング効果の向上に直結するとされています。
トレーニングの頑張りと同様に「しっかり休む」ことを習慣化することが、筋持久力を継続的に高めていくうえで欠かせない要素のひとつです。
筋持久力トレーニングに関するよくある誤解
筋持久力トレーニングについては、正しくない情報や思い込みが広まっていることも少なくありません。
誤った認識のままトレーニングを続けると、期待した効果が得られなかったり、怪我のリスクが高まったりする場合があるため、よくある誤解を正しく理解しておくことが大切です。
「軽い負荷なら何回やっても効果がある」は誤り
筋持久力トレーニングは「低負荷×高回数」が基本ですが、負荷が軽すぎると筋肉への十分な刺激が得られず、トレーニング効果がほとんど得られない場合があります。
たとえば、100回連続で楽にできるような非常に軽い負荷での腕立て伏せを毎日繰り返しても、筋肉に十分な刺激が入らないため筋持久力の向上には結びつきにくいとされています。
筋持久力トレーニングの効果を引き出すためには、設定した回数(20〜30回程度)の最後の2〜3回で「きつい」と感じるくらいの負荷を選ぶことが重要です。
「20回やりきれるがかなりきつい」という設定が筋持久力への適切な刺激となるのに対して、「50回でも余裕でできる」という設定では筋肉への負荷が不十分であり、効果を出すには適切な強度の確保が必要です。
負荷が軽すぎると感じた場合は、回数を増やすよりも負荷(重量や難易度)を上げる方向で調整することで、より効果的な筋持久力トレーニングに近づけられます。
自重トレーニングで物足りなくなってきた場合は、ダンベル・チューブ・ウエイトベストなどを活用して負荷を段階的に高めていくことが推奨されます。
「筋持久力トレーニングだけで十分」は誤り
筋持久力トレーニングは体力向上・疲れにくい体づくりに有効ですが、これだけに集中しすぎると速筋(白筋)の維持が難しくなるとされています。
筋肉量は20代をピークに30代以降は年間約1%ずつ減少していくとされており、減少するのは主に速筋(白筋)であるとされています。
速筋の維持には最大筋力の70〜85%以上の高負荷トレーニング(筋力トレーニング)が必要であり、筋持久力トレーニングのみでは速筋への刺激が不十分になりやすいとされています。
健康維持・体力向上・スポーツパフォーマンスの向上を目指す場合は、筋持久力トレーニングと筋力トレーニングをバランスよく組み合わせることが推奨されます。
4〜8週間ごとにトレーニングの比重を切り替えながら、高負荷・低回数の筋力トレーニングの時期と低負荷・高回数の筋持久力トレーニングの時期を交互に設けることで、筋肉の成長と持久力の両方を効率よく高めやすくなるとされています。
「筋持久力トレーニングを4〜8週間継続したら、筋力トレーニングの期間に切り替える」というサイクルを組み込むことが、トレーニング効果の停滞を防ぐうえでも有効とされています。
「毎日トレーニングするほど効果が出る」は誤り
筋持久力を高めるためには継続的なトレーニングが重要ですが、同じ部位を毎日鍛え続けることはかえって逆効果になるとされています。
筋肉はトレーニング中ではなく、トレーニング後の回復期間中に修復・強化されるとされており、十分な休息を取らずにトレーニングを繰り返すと筋肉の回復が追いつかなくなり、疲労の蓄積・怪我のリスク・トレーニング効果の低下につながります。
同じ部位のトレーニングは週2〜3回程度とし、トレーニングとトレーニングの間に1〜2日の回復時間を設けることが基本とされています。
毎日体を動かしたい場合は、「月・水・金に上半身の筋持久力トレーニング、火・木に下半身の筋持久力トレーニング」のように鍛える部位を交互に変える分割トレーニングを取り入れることで、毎日トレーニングを継続しながら各部位に十分な回復時間を確保できます。
筋持久力トレーニングにおける「オーバートレーニング(過剰なトレーニング)」は、慢性的な疲労感・睡眠の質の低下・パフォーマンスの停滞としてあらわれやすいため、こうした症状を感じた場合はトレーニング頻度や強度を見直すことが推奨されます。
よくある質問
- 筋持久力トレーニングは何回・何セットおこなえばよいですか?
-
筋持久力トレーニングの基本設定は、1セットあたり20〜30回×2〜3セットが目安とされています。
厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」でも、筋持久力トレーニングは最大筋力の約40%程度の負荷で運動できる限界に近づくまで繰り返すことが基本とされており、設定した回数の最後の2〜3回で「きつい」と感じる程度の負荷を選ぶことが重要です。[1]
セット間のインターバルは30〜60秒程度を目安とし、息が少し落ち着いたタイミングで次のセットに移ることが筋持久力向上に効果的な設定のひとつです。
- 筋持久力トレーニングは自宅でできますか?
-
特別な器具がなくても、自体重を負荷として利用することで自宅でも効果的に取り組むことが可能です。
スクワット・腕立て伏せ・プランク・マウンテンクライマーなどの自重トレーニングは、スペースをほとんど取らず器具も不要なため、自宅でも始めやすいとされています。
自重での各種目が30回以上楽にできるようになったら、ダンベルや体操用ゴムチューブ(レジスタンスバンド)などを活用して負荷を段階的に高めていくことで、自宅でも継続的な筋持久力向上に取り組みやすくなります。
- 筋持久力トレーニングを始めてから効果が出るまでどのくらいかかりますか?
-
筋持久力トレーニングの効果があらわれるまでの期間は、開始時の体力水準・年齢・トレーニング頻度・強度などによって個人差があります。
一般的には、適切な設定で週3〜5回のトレーニングを8週間以上継続することで、筋持久力の向上を実感しやすくなるとされています。
最初の2〜4週間はフォームや感覚に慣れる時期と捉え、8〜12週間を一区切りとして継続することが、効果を実感するうえで重要なアプローチのひとつです。
- 筋持久力を鍛えることで日常生活にどんな変化がありますか?
-
筋持久力が向上すると、同じ姿勢を長時間保つことや同じ動作を繰り返すことへの疲れにくさが改善されるとされています。
具体的には、長時間のデスクワーク中の姿勢維持・階段の昇降・重い荷物の運搬・長距離の歩行などで疲れにくくなる効果が期待できるとされています。
さらに、遅筋(赤筋)は年齢を重ねても比較的衰えにくい筋肉とされているため、継続的に筋持久力を鍛えることが加齢に伴う体力低下の予防にも役立つとされています。[1]
まとめ
筋持久力とは「繰り返しの負荷に対して特定の筋肉がどれだけ長く力を発揮し続けられるか」を示す能力であり、筋力(1回の最大発揮力)とは異なる概念として、日常生活での疲れにくさやスポーツパフォーマンスに深く関わっているとされています。
筋持久力トレーニングの基本設定は「最大筋力の約40%程度の低〜中負荷×20〜30回の高回数×2〜3セット」であり、セット間のインターバルは30〜60秒程度と短めに設定することが遅筋(赤筋)周囲の毛細血管発達と酸素供給力向上を促すうえで重要とされています。
スクワット・腕立て伏せ・プランク・マウンテンクライマーなどの自重トレーニングは器具不要で自宅でも取り組みやすく、正しいフォームで高回数を継続することが筋持久力向上の効果を最大化するうえでもっとも重要な要素のひとつです。
有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)を週2〜3回組み合わせることで、全身持久力と筋持久力の両方をバランスよく鍛えやすくなり、より疲れにくく動ける体づくりにつながるとされています。
「負荷が軽すぎる」「毎日同じ部位を鍛え続ける」「筋持久力トレーニングだけに集中する」といった誤ったアプローチは効果の低下や怪我のリスクにつながるため、正しい設定・適切な休息・筋力トレーニングとのバランスを意識することが長期的な効果向上の鍵となります。
トレーニング後のたんぱく質摂取と7〜8時間程度の質の良い睡眠を確保することが、筋肉の修復・強化を促してトレーニング効果を最大化するうえで不可欠な要素とされています。
「正しい設定で、継続して取り組む」ことが筋持久力を高めるうえでの根本であり、週3〜5回・8週間以上の継続を目安に、無理のない範囲から始めることが長く続けられるトレーニング習慣の基盤となります。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋持久力」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-002.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-001.html
[4] 文部科学省「体力・運動能力調査」 https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/1368222.htm
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